平成24年度
第55回北海道小学校長会 総会・研修会
蔵本会長挨拶
例年にない残雪が、入学式にも見られるなど、春の訪れが心配されました。また、今年の桜は、 開花宣言が同時に満開という、変わった一年のスタートとなりました。しかし、各学校におかれましては、着々と新年度の諸行事が進んでいることと思います。 新役員、代議員の皆様には、新年度の慌ただしい時期にもかかわらず、全道各地からお集まりいただきありがとうございます。また、本日は公務ご多用の中、北海道教育委員会教育長 高橋教一様、北海道都市教育長会会長 北原敬文様をはじめ、本会が日頃からご支援をいただいている教育関係団体の皆様、そして歴代の道小会長及び役員の皆様のご臨席をいただいております。誠にありがとうございます。 北海道小学校長会は、「正論を以て、正道を歩む」という理念のもと、半世紀にわたり、校長の職能向上及び本道教育の振興・発展に多大な貢献をしてまいりました。そして昨年度は、釧路管内弟子屈町において、全道の会員の皆様を迎え、「分科会の充実」を合言葉に、第54回道小教育研究大会を開催し、大きな成果を上げることができました。会員の皆様はじめ、開催地、釧路校長会に心より感謝申し上げます。 私は、このような中、昨年度に引き続き会長を務めることになった蔵本です。微力ではありますが、小学校長の職能向上と本道教育の充実発展を目的とする本会がますます発展するよう、全道1154名の会員の皆様と共に全力を尽くす所存です。皆様のご支援を心からお願い申し上げます。さて、今年度の道小の活動について申し述べます。 道小は、昨年度に引き続き、「グローバルに考え、共に進む校長会」をめざして、諸活動の一層の充実を図りたいと考えています。校長会の使命は、「教育の質の向上」です。各学校で日々の授業の質を高め、子どもの成長の姿で教育活動全体を評価し改善する取組を、粘り強く進めていくことが必要です。そのためにも、校長が「教育の質の向上」という観点から、教育改革や本道教育課題に関わる様々な情報を、広く全道・全国へも視野を広げていくグローバル化が求められています。そこから、教育課題を構造的、総合的に分析し、それらを学校改善や教職員の資質向上に生かし、具現化させたいのです。 また、道小として、各地区の理事を中心に連携し、各学校の生の声を確実に把握するとともに、地区校長会の声を全会員共通の課題としてまいります。その上で、それぞれの地区にあった手立て・手順を大切にした取組を進めていく力強い校長会でありたいと思います。私たちは、「子どもの成長」という共通のゴールに向かって、学校運営を進めます。そのゴールまでの道のりは、決して平坦でも、一本道でもありません。一人一人が、それぞれの地区の特性を生かした取組を効果的に進めることで、北海道全体の「教育の質の向上」を図っていきたいと考えます。 《北海道教育界が抱える厳しい現実》 学習指導要領全面実施の1年目を終え、各学校では、昨年の反省・評価から多くの改善を経て、新しい教育計画に沿っての運営が進んでいることと思います。校長会として、今年も各学校の実践を交流し、相互の研修と北海道全体の教育の質の向上を図ってまいりたいと考えます。北海道小学校長会として、本年度、重点として取り組むことを3点に絞ってお話しいたします。 一点目は、「学力の向上」についてです。 「学力だけが教育の目標ではない」という論理のすり替えを許してはなりません。学んだことを確実に身につけさせることが教育です。それゆえ、「学力の向上は教育の目標」です。平成22年度、道小・道中両会長連名で「学力向上に向けた校長会アピール」を発出しました。その中で「校長会自らが動いて、それぞれの地区の教育局や市町村教育委員会などの行政機関と積極的に連携し、子どもたちの学力向上に対して、地域の実態に即した独自の対応を行っていくことが必要不可欠」という考えを表明しました。そこからスタートし、全道の地区校長会がそれぞれに工夫して、学力向上に取り組んできていることに、敬意を表しますとともに、今後もたゆまぬ改善の姿をお示しいただきたいと願っています。 先般の道議会で高橋教育長が「平成26年度の全国調査までに「全国平均以上」にすること」を目標として提示しました。私たちは、そのことを念頭におきながらも、まず、全道各地の教育委員会の方針や地区校長会の取組の様子や傾向等、現状についての分析をし、北海道全域で取り組むこと、地区で改善しなければならないことについてお知らせしたいと思います。そのことも参考にされて、全地区において前進している姿を全道に示すことが、平成22年度に出された緊急アピールに基づく道小の取組の証となると考えます。 二点目は、公務員としての服務規律に関わる調査・処分についてです。 今、校長会は未だ嘗てない危機に見舞われています。服務規律調査に始まった諸調査の結果から、処分及び給与返戻が出されました。校長の戒告という重い処分の裏にある事実をしっかり見極めなければならないと考えます。法解釈の誤りなのか、過去の慣習の改善不足なのか等、一般社会の目線で振り返る必要があります。道小は「正論をもって正道を歩む」という理念をもつ、職能向上団体です。今回の結果を受け、反省することはもちろん、北海道教育委員会をはじめ各市町村教育委員会のご指導のもと、二度とこのようなことが起こらないための改善策を出していきたいと考えます。学校改善に努めることが、地域・保護者からの信頼を回復する最良の手立てと考え、取組を進めていきたいと思います。 三点目は、「いじめ・不登校・児童虐待」の問題です。 子どもたちが安心して学校に通学し、友達と相互に信頼して楽しい学校生活を過ごすことができる環境を、これからも継続して提供していくことが不可欠であります。そのためにも、学校が中核となり、保護者・地域・行政の連携を図り、子どもたちの安心安全を常に意識した学校づくりを地域全員で取り組んでいきたいと考えます。 《その他の課題》 今、教育界は日々変化しています。全連小の機関会議や研究大会、文部科学省のメーリングリスト、道教委からの情報提供など多くの有用な情報が提供されています。また、他にも、35人以下学級編成の見通し、インクルーシブ教育の今後の動向、2015年を目指して計画されている「総合子ども園構想」等、研修していかなければならない課題があります。 《他機関との連携》 このような課題に対して、校長会として危機意識をもち、改善に向けての取組を継続・発展させていかなければならないと考えます。そのためには、校長会が行政や広く教育関係団体・PTAとの連携を強化し、子どもたちや学校を取り巻く社会の理解と協力を求めていく必要があります。 《校長としてのリーダーシップ》 重要課題の克服には、いずれも正確な情報把握と校長の強いリーダーシップが必要不可欠です。校長は、教員個々の力量を学校力に高めるリーダーシップと、地域・保護者とのパイプ役としての大きな役割を担っています。それには、校長自らが、学校として取り組むべき方向性を教職員や地域・保護者に明確に示すと共に、様々な教育活動を具体化し、組織化・体系化することが必要です。また、そのことこそが学校の教育力を高める最大の方策であることを校長会として確認し合い、研修を深めたいと考えます。 《政策提言型の要望活動》 今年度は、道教委の新たな施策として「学校力向上に関する総合実践事業」が全道7校で実施されています。この事業には、短期間の学校・学習状況の改善にとどまらない内容を含んでおり、その意図をしっかりと理解し、目的達成のために英知を結集していきたいと考えます。また、他校の教育改革や研究実践に学ぶことを大切にし、自校や自分の地区の学校力の向上への取組に生かすために、改善へのスピード感を考えて進んで取り入れていく必要があると考えます。その取組の中で発生した改善点を行政への提言に盛り込んでいくことにより、実践と施策の一体感を生み。実際の要望活動以上の成果を期待しています。 《校長会の方針と連携》 「グローバルに考え、共に進む校長会」として、確かな情報と固い信念に裏打ちされた学校経営で、子どもの成長の姿を保護者や地域に自信をもって示し、道民の負託と信頼に答えられる取組を進めていきたいと思います。 道小の教育研究大会は、今年度は上川大会となり、旭川を会場に開催されます。北海道小学校長会のパワーをしっかりと発揮して、主管地区校長会を支援していけるものと期待しています。ご協力をよろしくお願いいたします。 以上、校長会としての抱負を述べましたが、これらはいずれも道教委・市町村教委との信頼関係があってはじめて成立するものです。これまで同様、道小が学校の生の声をしっかりと伝えながら、よりよいものを互いに求め合うパートナーシップを大切にしていきたいと考えます。 教育は未来をつくる営みと言われます。校長会として、また、一人一人の校長が、教育への志を高くもって、北海道の、そして、地域の宝である子どもの未来を育む教育に当たりたいものです。 ご来賓、教育関係諸機関の皆様に今後とも本会の発展のためにご指導・ご支援をお願い申し上げると共に、会員の皆様のますますのご健勝を祈念し挨拶といたします。 |