空知・岩見沢大会分科会・分散会研究のまとめ

 「田園に花と文化のかおる空知から ふるさとを愛し 未来を拓く子らに 夢と希望を!」の大会キャッチフレーズのもと,第52回北海道小学校長会教育研究空知・岩見沢大会が,全道各地から760名を超える会員の参加を得て開催されました。

 大会主題「新しい時代を拓き,心豊かにたくましく生きる日本人の育成を目指す小学校教育の推進」,大会副主題「ふるさとに誇りをもち,夢や希望に挑戦する子どもをはぐくむ学校の在り方」の解明に向け,新しい分科会構成のもと,13の分科会・分散会におきまして熱心で前向きな研究協議をいただきました。

 各分科会では,来年行われる全連小北海道大会を念頭におき分科会を行っていただきました。例えば第5分科会「現職教育」では,後志管内の次のような取組を基に研究発表が行われました。後志管内では,3校で行った試行をもとに,子どもの育ちを記録化するなどの手だてを明らかにし、管内すべての学校で学校改善に向けた取組みを推進し、地区単位でPDCAサイクルをもとに実践を行いその成果を発表していただきました。
 このように,13の分科会・分散会,全てにおいて来年度に行われる全連小の北海道大会を念頭におき,副主題の趣旨や各分科会の課題を主体的にうけとめて,研究発表や熱心な協議が行われました。今年度は,従来の方法を改善し,第1回の分科会運営会議から研究発表者に参加をいただき,早い時期から分科会・分散会の具体的な内容について研究討議を進めて参りました。このことは,分科会の充実に大きな成果をもたらしたものと思います。関係者のご尽力に,心から感謝しております。

 本大会の成果について,各分科会・分散会の研究協議の内容をもとに,大会副主題のキーワード「ふるさと,夢・希望,挑戦」および校長の役割・指導性にかかわる視点から申し述べたいと思います。
一つ目は,校長の役割・指導性についてです。この度の大会は,平成22年度に行われる全連小北海道大会を見通し,第1分科会「校長の職責」,第2分科会「組織・運営」,第3分科会「学校評価・人事評価」などの分科会を新しくもうけ,校長の役割・指導性について,より鋭角的な切り込みから討議がなされるようにいたしました。

 昨日の研究協議においては,全ての分科会において,校長の役割・指導性を究明するために,各地区の校長会が一体となって取り組み,成果を上げた内容について提案をいただきました。また,各地区の校長会の実践について活発に討議が行われ,本教育研究大会でねらっていた趣旨が十分に達成されたことを大変うれしく思います。
 「教職員の参画意識をどのように高揚するか」「学校経営の推進に、学校評価や職員評価制度をどのように生かしていくか」「職員の当事者意識を高め,授業力向上を図るために、校長はどのような指導性を発揮すべきか」「組織的な危機管理体制の確立を図るために,校長はどのような指導性を発揮すべきか」などについて,校長としての在り方を強く意識した研究協議が行われました。
これらの協議から,「時代の要請に応えた新しい組織づくりや教育課程の編成・実施・評価・改善」「日常的なかかわりから信頼関係を築き,教職員の資質向上を図る」「家庭・地域・学校間の双方向性のある連携を意図した仕組みの構築」など,「明確な経営ビジョンとその実現に向けた具体的な方略の重要性」を確認することができました。

 子どもを取り巻く社会状況が多様化,深刻化し,地域の果たすべき役割やその重みが増しつつある現在,「特色ある教育活動」を組織的に実施することは,ますます重要になっております。また,「目の前の子どもにつけるべき力は何か」「地域の教育力をどのように生かすか」など,学校が置かれている状況をしっかりと見つめ,地域に根をおろした教育活動を展開することが大切です。
校長の経営ビジョンは,こうした学校課題や地域の教育課題を真正面からとらえ,その解決の筋道を教育活動の中にしっかりと位置づけることであります。また,方略を明確に示し,学校職員が一体となって取り組みを進めていけるよう,校長が最大限にリーダーシップを発揮することが重要であると思います。

 二つ目は,大会副主題についてであります。
 我々大人は,自分が子どもの頃育った環境を,一生涯心の中に持ちつづけて生活しています。原風景という言葉にあてはまるのかもしれません。副主題「ふるさとに誇りをもち,夢や希望に挑戦する子どもをはぐくむ学校のあり方」は,グローバル化,知識基盤社会の中で,子どもが自分が生まれ育った地域に誇りをもち,共生の意識をもって社会参加していく資質・能力の育成を意識したものです。
各分科会では,地域の自然や文化,歴史にふれる体験活動を重視した実践や地域社会との連携,ともに支えあう共生の意織をはぐくむ活動を教育課程の中に意図的・計画的に位置づけた実践などについて,数多くの提言をいただきました。

 特に,「子どもの実態を把握し,主体的に行動する実践的態度や資質・能力を育てる教育活動」「子どもの内面を豊かにするために,各領域との関連性を図った活動の充実」「地域の教育資源の有効な活用」などについても活発に協議が行われ,方向性を得ることができました。
 とりわけ,平成23年度から全面実施となる学習指導要領について,「規範意識や社会性の育成」「豊かな表現力やコミュニケーション能力の育成」などについて,研究協議の中で十分に深めることができました。また,各地区・各学校における実践の交流を通し,今後の課題についても意見交流を図り,解決のための方略を共通理解できたことも大きな成果であります。

 なお,各分科会・分散会での詳しい協議内容につきましては,12月に発行されます別冊教育北海道46号に詳しく掲載されますので,ぜひごらんいただきたいと思います。
 今回の教育研究空知・岩見沢大会は,研究発表の校長先生,および各地区の校長会の皆様,趣旨鋭明,司会・記録の校長先生,会場の準備や分科会運営にお力添えをいただきました運営責任者・会場責任者,そして研究協議を深めて下さいましたご参会の全ての校長先生の熱意により,多くの成果をあげることができました。

 第52回北海道教育研究空知・岩見沢大会はご参会の皆様の充実感の中で,今静かに幕を下ろそうとしております。今大会を主管していただきました空知校長会の皆様に心から感謝を申し上げます。本当にありがとうございました。
 来年は,札幌において第62回全連小研究協議会北海道大会と併せて,第53回道小教育研究札幌大会が開催されます。
 今大会の成果や課題を各地区にお持ち帰りいただき,来年の大会までに一層研究実践を深めていただき, 全連小北海道大会の充実・発展につなげていただくようお願いし,研究のまとめといたします。

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