第56回北海道小学校長教育研究 渡島・北斗大会 全体会 研究協議のまとめ

渡島の風を新幹線が奏でるシンフォニーにのせて未来を担う子らに希望の光を!その希望の光を届ける第56回北海道小学校長会教育研究渡島・北斗大会が全道各地より621名の会員の皆様の参加を得て開催されました。

 大会主題「新たな知を拓き,人間性豊かな社会を築く日本人の育成を目指す小学校教育の推進』,大会副主題「北の大地から世界を見つめ,新しい社会の形成に向けて挑戦する子どもを育む学校経営の推進」の究明に向けた熱心な研究協議に心より感謝申し上げます。
 本大会におきましても,「分科会の充実」の精神を大切にし,特に「分科会の内容の充実」に向け「参加型の分科会から参画型の分科会」を目指し準備を進めてまいりました。昨日は,会員の叡智と鋭気が結集した13の分科会において熱心な研究協議が行われ,大きな成果を上げることができました。



 本大会は,学校経営の責任者である校長の立場から,「北海道の地域性を生かした新たな可能性の開発と経営ビジョン,機能性のある組織づくり」を重点に研究協議を行いました。













 各分科会におきましては,各地区校長会の取組に基づく事例の発表をもとに,今日的な教育課題について,時代の潮流を鋭くとらえたグローバルな視点地域の実態に即した視点からの分析・考察が加えられました。

 課題解決に向けた経営ビジョンの創造とその実現に向けての組織的な教育活動でのリーダーシップの発揮などを「校長の役割と指導性」の観点から取り上げ,具体的かつ実践的な議論を十分に深めていただきました。
 それでは,各分科会の研究協議の内容について,「大会副主題」と「校長としてのビジョン・組織づくり」,「役割・指導性」をキーワードに報告させていただきます。
 大会副主題「北の大地から世界を見つめ,新しい社会の形成に向けて挑戦する」子どもの育成の実現には,心の教育,確かな学力,健康教育や環境教育などの教育課題を含め,子どもの実態と学習指導要領に基づいて適切なカリキュラムの開発・作成が重要であります。

 発表からも今日的な教育課題を学校経営ビジョンに取り入れ,教育課程に明確に位置付けるとともに,その実現に向けての具体的な企画・立案,指導体制の整備において,校長が積極的に指導性を発揮することが極めて重要であることが明らかになりました。

  第5分科会「豊かな人間性」第9分科会「健全育成」においては,多様な体験活動による豊かな心の育成,新たな社会を生き抜く人権感覚の育成,また,児童の健全育成について話し合いが行われました。

これらの育成については,
道徳教育の充実を図るとともに,
人間関係づくりを教育活動に位置付けたり,
自己効力感・自己肯定感を高める取組
を推進したりするなど校長の明確な方針とビジョンの提示,
リ一ダーシップが重要であることが明らかになりました。

  第4分科会「知性・創造性」においては,喫緊の課題としての学力向上に向けて,学校改善プランとしての「日高まなびパワーアッププラン」をもとに,各地区・各学校の取組が交流されました。

確かな学力の定着に向け,実効性のある学校改善プランとするためには,
家庭との協力体制の下,学習習慣・生活習慣を整え,
学習規律を確立するとともに,
教職員の指導力向上に向けた校内研修の充実
授業改善に対する校長の役割と指導性について
協議が深められました。

 第6分科会「社会形成能力」第8分科会「学校安全」は,今日的な課題により設置された新たな内容の分科会です。

 子どもたちを取り巻く社会や地域の特性・教育資源を十分把握し,それらを教育活動に生かす取組について活発な意見が交わされました。

 社会に貢献しようとする意欲や態度を育成するとともに,主体性をもって自ら判断し行動できる力を身に付けるための教育活動の創造及び,その計画
に対する校長の果たす役割と指導性について協議が深められました。

 第10分科会「健康」第13分科会「社会性」においては,生涯にわたって自らの健康を適切に管理・維持・改善する力を育成するための方策,及び社会的・職業的自立にかかる基礎的・汎用的能力を育むための方策をどのように経営ビジョンに取り入れるのかについて研究協議が行われました。
 健康教育・食育,キャリア教育として,各教科・領域において横断的,総合的に指導できるよう共通理解を図り,教育課程へ明確に位置付けることへの校長の指導性について議論が深まりました。また,校長のリーダーシップの下,学校,家庭及び地域社会への啓発と連携を強化し,組織的な取組の整備・充実を図っていくことが重要であることも確認されました。

    第11分科会「環境」では,地球温暖化などの環境問題も含め,エネルギーを取り巻く様々な状況や課題に対して,学校の指導体制づくりや実践的な活動の充実に向けた校長の役割と指導性について協議がなされました。

  学校における教育活動においては,子どもに環境意識の向上を図るとともに,将来にわたって地球環境を保全し,よりよい環境を創造するために適切な判断と主体的に行動する実践力を子どもたちに育んでいく必要があることから,家庭・地域・関係機関と連携を取りながら環境教育の充実を図る経営ビジョンの具体について協議が深まりました。

    第12分科会「自立」においては,特別支援教育及び,通常学級における特別な配慮を要する児童への支援の在り方について協議されました。

  障がいのある子どもの自立や社会参加を目指し,深い児童理解の下,一人一人の教育的ニーズに応じた適切な指導について,校長は明確なビジョンを示すとともに,教職員の意識改革研修による専門性の向上などを図りながら,全校体制によって組織的計画的に取り組んでいくことの必要性が明らかにされました。

 


 次に,学校経営・運営上の諸問題に関わる経営ビジョン・組織づくりと校長の役割・指導性について報告いたします。

 第2分科会「組織・運営」第7分科会「現職教育」においては,教職員の資質や能力と経営参画意識の向上,意識改革を含めた人材育成に関わる方策について取り上げられました。
 学校教育の直接の担い手である一人一人の教師に「生きる力」を育むための重点や具体的方策を明確に示し,協働の姿勢で取り組む意識を高めることで組織を活性化させる校長の役割の重要性が明らかにされました。
 また,若年層,中堅層の人材育成など,個々のライフステージに応じた研修内容の提示や助言なども校長の指導性として重要であることが明らかになりました。

  第1分科会「経営・ビジョン」においては,子どもたちに「生きる力」を確実に育むとともに,自己実現を目指す意欲や態度を育て,夢の実現を目指した学校経営の推進に校長の果たすべき役割と指導性について協議が展開されました。

 特に,学校の果たすべき役割の「明確化と重点化」を図った経営ビジョンを学校内外に示し,取組の目標や方策を具体的に提示するとともに,学校・家庭・地域が目標・方策・成果を共有することの必要性が明らかにされました。

 第3分科会「評価・改善」では,学校組織としての実践を検証・改善していく取組である学校評価と教職員個々の資質能力の向上を目指す取組である人事評価を関連させて,学校の総体としてのカを高める学校経営の充実について協議がなされました。

 組織を活性化させるためには,組織を構成する一人一人が共通理解に基づいたより高い目標を設定することが必要であり,そのために校長は日常的に的確な見取りと面談,指導・助言をするなど,教職員の成長を保証することの重要性が明らかになりました。

  各分科会の研究協議を通して,学校教育目標を達成していく活動,いわゆる組織マネジメントにおける校長の役割と指導性について,次の2点が大きく重要視されていることが明らかになりました。

 1点目は,学校が,確かな学力や豊かな心,健やかな体の調和のとれた教育を一層重視し,自立への基盤となる「生きるカ」を育むためには,子どもや地域,学校の実態の的確な調査・分析・考察をもとに,北海道の地域性に密着した学校経営ビジョンを創造し,これを学校内外に発信・浸透させ,共有化していくことが必要であり,学校経営の最高責任者としての校長の経営理念が重要であるということが明らかになりました。

 2点目として,ビジョンの実現については,教職員一人一人の資質の向上やミドルリーダーの育成を図りながら,一人一人の役割を明確にし,協働して取り組む活力ある質の高い組織づくりが不可欠であり,そこにおける校長の揺るぎない指導性と力強いリーダーシップの重要性が明らかになりました。

 総括的にみますと,この2点は「学校内外の人的・物的等の諸資源の効果的な活用」「家庭・地域社会との協働・連携」に支えられ,全てを包括して教育活動を展開しているという発表であり,研究協議でありました。

   これらは,前大会主題・副主題における過去5年間の研究交流の成果と課題及び,「分科会の充実」の理念を継承して臨み,新たな大会主題・副主題の究明に取り組んだ本大会の大きな成果であると考えます。

    第56回渡島・北斗大会の研究の成果が,ご参会の校長先生を通して,渡島の地から発信され,今後の学校経営に生かされ,「北の大地から世界を見つめ新しい社会の形成に向けて挑戦する子どもの育成」につながりますこと,

   そして,来年開催されます第57回北海道小学校長会教育研究日高大会に引き継がれ,更なる大きな成果が得られますことを確信し,研究協議のまとめといたします。





ありがとうございました。