教育情勢  鈴木局長




































 3点についてお話しする。
 1点目は、全国学力・学習状況調査の管内別公表に関わってお話しする。
 家庭での学習時間、TV視聴やゲームをする時間、携帯電話に触れる時間などの結果を管内別公表で成績が低かった地区の取組として不足しているとした内容が各社新聞記事に多く見られる。同じような論調から察すると、道教委が分析結果を報道機関に伝え、それを元に各社ごとに記事を編集しているような背景を感じる。
 道新の社説で「道内14の管内の個別の成績を公表して下位地区を特定することに何の教育的意味があるのだろう。道教委のなすことは、テストの成績をとることを競わせることではなく、指導法の確立や教員の手厚い配置など教育環境を地道に整備することだ」と述べている。例えば、今回の調査で成績下位地区に手厚く加配教員をつける、実物投影機を全クラス分導入するなどの環境整備をするならば百歩譲ってもよいが、単に数値を公表して指導主事の訪問をすることだけなら、学校の努力を強いることになり、教職員の閉塞感を強め、指導改善の意欲やモチベーションを下げることになりかねない。
 このことは、校長会としても、道教委にも伝えているし、今後についても、各地区や市町村ごとの数値公表は、その影響の大きさから慎重を期すように伝えていく。

 先日、道教委と道小・道中役員との定期協議の中で結果の公表について意見交換を行った。その中で、学校の説明の中で、領域別の正答率や児童生徒質問紙調査から見られる結果について、分析公表している学校は多いが、学校質問紙調査の結果については触れられていない学校が多いことが話題となった。
 例を挙げるなら、児童質問紙に「算数の授業で学習したことを普段の生活の中で活用できていますか」という項目は全道的に数値が低くなっている。一方、学校質問紙調査の「算数の学習で実生活との事象との関連を図った授業を行ったか」という項目の数値は大変高くなっている。

 この結果から考えると学校としては日常生活の関連で授業をしているつもりでも子どもたちの意識にはそこまで至っていないことが分かる。つまり、今まで以上に、日常生活と結びついた算数の学習に取り組むなど課題が明確になってくる。このように児童質問紙調査と学校質問紙調査を関連づけて分析することは、学校の今までの実態をとらえ、これからの学校の課題が見えてくる。改善点や解決策も見えてくる。こうした、ていねいな公表の仕方が必要になってくる。

 単に学習時間を増やし、ゲーム時間を減らし点数を上げるといった近視眼的な方策も必要かもしれないが、子どもの意欲、学習に向かう気持ちなどを中核に据えた分析と公表に心がけていくことが、学校としての改善方策を示すことであり、保護者や地域に対する学校の役割として重要視されるべきである。道教委や新聞報道にとらわれず、ぶれることなく校長として自校の教育活動の足下を固めていくことが大切になってくる。

 2点目は、平成26年度全国学力・学習状況調査の市町村ごとの成績公表に関わってお話しする。道教委との定期協議のおりに、市町村ごと成績公表が解禁されたような報道がされているが、それは間違いであるという説明を受けた。ただ、文科省の方から、報道を訂正する動きが無いことからあながち間違っているということもないようだ。11月中に、成績公表の要領について動きがあるように聞いているが、新聞報道に近い形で情報の発出される可能性がある。前に述べたように、私たち校長は、足下を見つめ、「今までの取組状況,学校の課題,改善点や解決策」を分析し,ゆるぎなく教育活動の改善に邁進することが大切だ。

 3点目は、小学校の英語の教科化についてである。
 小学校3,4年で週1~2時間、5,6年で3時間を想定している。平成28年度新学習指導要領の告示を目指している。15分×3のモジュール1コマと45分2コマとして、週5日間全てで英語の学習できるようなことも認めていく方向である。さらには、他教科の時数を変えないで、週当たりの授業時間を純増するとされている。一部、報道では、純増した時間数で子どもが窮屈にならぬように、解決策として土曜日に総合的な学習の時間や体育を移行してはどうか提案するなど、なし崩し的に土曜学習の実現を促す論調も見られる。注視していきたい。